メンタルトラブル(紛争回避)対応事例
Case04
IT関連企業、30代男性、社員
自殺をほのめかして失踪した社員
相談の流れ
人事労務担当者からの相談で、自殺をほのめかす社員からの電話があり、その後、まったく連絡がつかなくなり2日経ったと相談される。
新製品開発のために、グループ会社に出向させており、納期があと1か月に迫っているという事情があり、極度のプレッシャーがかかっていた可能性が高い。
以前、職場訪問をした際には、顔色が悪かったこともあり、休みを適度に取り入れるようにアドバイスしたり、実家に戻って休んでみたらどうかとも勧めていた。
その場で、家族に電話を入れて安否確認をしたところ、ホテルに寝泊まりしているということが判明。家族にも協力を得て、自殺を思いとどまらせるように連携をとり続ける。
父親もすぐにカウンセラーのもとを訪ねてきてくれて、会社側との話し合いも行われた。
1週間後、憔悴しきった社員が、アパートに帰ってきた。
「死にたかった。仕事が苦しくて、死にたかった」と、泣き続ける社員を前に、人事労務担当者は言葉が無かった。自分の友人や親族にも、仕事上の悩みで自殺を図った人間がいたからだった。
会社に尽くしてくれた社員に、何をどうしてあげれば良いのか、新製品開発はどうするのか、誰もなすすべがなかった。
この事例のキーポイント
- 自殺危機介入の案件として取り扱うことが必須
- 労務担当者への指示責任者の明確化
- 家族との連携サポート
サポートの概要
- 時系列で、失踪までの経緯を整理
- 労務担当者の責任の明確化を行う指示
- 家族側への事情説明
- 病院の緊急確保、産業医との連携必須
- 経営者への詳細な説明
- カウンセラー介入後から解決までの流れを文書に作成し、誤解が生じないように事態の共有を行う